ウェアラブルコンピュータとは

12月 01
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なにやら、ウェアラブルコンピュータの分野が騒がしくなってきました。

「スマートグラスを着用したままでの映画鑑賞は禁止」や「スマートグラスでネッ

ト依存症になり入院」など、これまで想像もできなかったような事がニュースになっ

ています。(どうして禁止なのか、どんな依存症になるのか?は後術します)

身につけるコンピュータなどサイズも大きく、それ程メリットが感じられないので

まだ身につけたくないと思っている人が大半ではないでしょうか?

初期の携帯電話もそうですが、ロボコップのような迫力のあるメガネを人前で使用

するのはちょっと勇気が必要ですよね。

しかしアメリカでは既に前述のような社会現象まで起こっていたのが現実です。

そこで今回はウェアラブルコンピュータについて、時代に取り残されないよう大慌

てで調査してみました。

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┃1┃ウェアラブルコンピュータの定義と歴史

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ウェアラブルコンピュータとは「身につけて持ち歩くことが出来るコンピュータ」

です。

西暦2000年になった頃、どこにでもパソコンがありインターネットに接続可能とい

う意味の「ユビキタスコンピューティング」がもてはやされた時代に、それを実現す

るハードウェアとして、ウェアラブルコンピュータも注目されるようになりました。

ただ当時としては技術的な制約が大きく、高価で重い装置という事もあったため、

あまり一般に普及するまでにはならなかったようです。

スマートフォンやタブレットコンピュータの定着した現在、これらの装置と区別す

る意味で、ウェアラブルデバイスとかウェアラブル端末と呼ぶ事も多くなってきまし

た。(本記事でも以降はウェアラブルデバイスの呼称を用います)

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┃2┃近年の分類と性能

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ここ数年のウェアラブルデバイスは、以前に売り出し文句にしていたような「どこ

でもインターネットが出来ます」というものではなく、その使用目的がハッキリとし

てきたのが特徴です。

特に以下の3分野は次々とメーカーが参入しており、今とても「熱い」市場に成長

してきました。

[1]アクティビティ・トラッカー

見た目に派手さはありませんが、その分装着にも抵抗の少ない「活動量計」です。

最近の健康ブームにのって人気が高まってきました。心拍数や歩数、ランニングの

距離やカロリー消費量などまで、データを記録したりパソコンで履歴の管理ができる

ので、とても便利です。

これでもウェアラブルデバイスなのか?と思えるほど地味な外観ですが、

身体に密着させて得られる情報は、貴重な身体の「生」データとなります。

キャップ(帽子)などもありましたが、リストバンドのタイプが主流でした。

[2]スマートウォッチ

いわゆる「腕時計型」デバイスです。先程のアクティビティトラッカーと似た形状

のものもあります。

こちらは時計はもちろんのこと、スマートフォンへのメール着信を振動で知らせた

り、メールを読んだりするのが主な機能です。

機種によってはスケジュールを確認したり、歩数計や心拍数の表示などもありまし

た。将来はアクティビティトラッカーと統合される分野なのかもしれませんね。

メールの確認にはスマートフォンがあるから、スマートウォッチにはあえて不要と

思っていたのですが、商品の購入者レビュー欄に「スマートフォンを胸ポケットに入

れたまま厚着したときに便利」という意見もあり、なるほどと感じました。

スマートウォッチの操作には、ボタンや画面タッチ以外に音声認識が可能な商品も

あり、スマートフォンで培った技術もしっかり生かされています。

最近ではGoogle社からスマートウォッチ向けのAndroid WareというOSが提供され、

これを採用するスマートウォッチはAndroidスマートフォンとの親和性がますます向

上してくるものと思われます。

[3]スマートグラス

メガネのように装着します。片眼のものと両眼を覆うものがありました。テレビの

CMを見てもカッコが良く、一番近未来を感じるようなスタイルですね。

こちらにも音声操作のものもありますし、画面に映る情報にはさまざまなパターン

があります。

最初に登場したのは、ゲームなどで使用する事を目的とした、「外の世界と遮断し

た」ヘッドマウントディスプレイで、より臨場感のあるCGや映画を映すというものだ

ったのですが、いまでは目の前の光景にガイドを重ね合わせて見るような「アウトド

アで使用する」ものも多くなってきました。

そのためか総務省の白書では、「メガネ型」と「ヘッドマウントディスプレイ」は

分けて分類しています。

GPSと連動したり、検索サイトから入手した情報を同時に表示したりなど、もはや

「ロボコップ」とか「アイアンマン」の世界ですね。

スマートグラスでは情報の表示以外にも、カメラ内蔵で「みたままの状態を撮影・

録画」するという機能を盛り込んでいます。この入力情報から、次にどのような情報

を与えるか、が現在の主なテーマとなっているようです。

既に複数のメーカーで「作業指示のリアルタイム表示」などの実験を行っており、

飛行機の整備や医療現場で役立つ日も遠くはなさそうでした。

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┃3┃今後の発展と予想

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まだまだ発展途上のウェアラブルデバイスなので、今後どういった形状になるのか

予想も難しいのですが、年々小型化する「チップ」を、①どこに埋め込み、②なんの

情報をどのように取得するか?という事と、得たデータから③どのような情報をどの

ように提供するか?という事がポイントになると思います。

発売したウェアラブルデバイスの使い方についてアイディアを一般から公募してい

るメーカーまでありますので、ここは頭を悩めるところなのでしょうね。

ちなみにこの記事を作成するために、調べてみたとこと以下のような研究も進んで

いるようでした。

・カツラ、ベルト、指輪、下着など身につけるものを「スマート化」する

・皮膚、眼球などへチップを埋め込み、人やペットを「スマート化」する

これらのウェアラブルデバイスを使ったとき、これからどういった世界が訪れるの

か、ちょっと想像もつきませんね。

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┃4┃課題とリスク

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現在ではまだバッテリの問題が大きく、連続使用時間や充電場所に制限が出るケー

スが多かったです。スマートフォンも毎日の充電が当たり前ですが、使用するスマー

トデバイスによっては専用の充電装置が必要になったりで、旅行に持ち運ぶときなど

は、まだ不便かもしれません。

ただ、こういった技術的な問題は今までもそうであったように時間がたてば自然に

解消するものと思われます。

それに対してプライバシーやセキュリティなどは、使用者のモラルの向上や法整備

も必要となり、かなり難しい問題となります。

冒頭にご紹介したニュースですが、内蔵カメラを用いて映画の盗撮が可能となるた

め、スマートグラスは鑑賞時には外すことがルール化されるようです。しかしそれも

小型化に伴って普通のメガネやコンタクトに埋め込まれてしまった場合は、イタチゴ

ッコになりますね。映画に限らず目の前の相手が自分を無断で撮影するなど、決し

て気持ちのいいものではありません。

また1日中スマートグラスを装着して生活していた人が、装置を外したときにイラ

イラしたり無意識に顔に手を当てスマートグラスの操作をするようなしぐさを行った

りなど、禁断症状と思える行動までしてしまった為、依存症と診断されました。

こういったお話はスマートグラスに限った事ではありませんが、ウェアラブルデバ

イスの定着とともに、ますます問題が多様化・深刻化していくのかもしれません。

この記事を書いている間にも、ウェアラブルデバイスで直接ネット通信できるもの

が登場しました(WifiやBlueToothではないため毎月の通信費が発生します)

となればパソコン同様、外部からの侵入防止やウィルス対策までが必要になるのは

時間の問題です。

皮膚にチップを埋め込み身分証明書にもなるようにすると、ますます情報漏えいの

対策も必要になってきます。

パスワードの使いまわしによる被害が騒がれている現在ですが、ウェアラブルデバ

イスの登場で、より高いレベルでのセキュリティ意識が必要な時代は既にきていたの

かもしれません。