インターネットの概念を塗り替えるブロードバンド常時接続の世界について
今回は、今急激に進歩している、インターネット通信技術についてご紹介したいと
思います。
まずは、私事で恐縮ですが、自分のインターネット歴の中でのおはなしから。
先日ひさしぶりに実家に帰ってみると、定年退職した父から『札幌市で行っている無
料の【IT講習会】に参加してパソコンについて勉強してみようと思っている』と相
談を受けました。くわしく話を聞いてみるとインターネットでホームページを見たり
趣味の写真撮影を生かしたホームページを作成してみたい(たぶん個展のようなもの
をイメージしていたのだと思いますが)とのことでした。自分が実家で生活していた
時(5年も前のことですが)居間の電話から電話線を抜いて2階の自分の部屋に電話
線を延ばしてはインターネットを行ってることを父に説明しても理解してもらえなか
ったのに『インターネットをやってみたい!』と言われたときは正直驚きました。
自分自身、初めてインターネットを体験したのが今から5・6年前。そのころアナ
ログ回線で14400bps のモデムを使用して写真の多いページを見ようものならすべて
表示されるまで何分も待っていたのを憶えています。ここ数年のうちにインターネッ
トの技術はあらゆる面で進化の一途をたどりました。モデムやブラウザ性能の向上、
回線のデジタル化、さまざまなプラグイン機能の充実等々、しかしその一方、通信速
度の足並みがそろわずまた、閲覧しようとするページも重たくなってきているという
問題を抱えていたと思います。このような状況で、ようやくここにきて、飛躍的な通
信速度を実現した接続方法がクローズアップされてきました。その解決方法の一つが
『ブロードバンド常時接続』です。
『ブロードバンド常時接続』とは、直訳すると広域帯常時接続ということですが、
通信の回線の容量を広げたものと考えていただいて結構かと思います。現在、話題に
なっているものは、アナログモデム接続の数十倍、あるいはそれ以上の高速通信速度
があたりまえに提供される接続方式のことで、それにより従来の文字中心のインター
ネットからデータ容量の大きな動画や音声も抵抗なく一緒に扱えるような接続形態で
す。重いホームページでも瞬時に表示することができ、デジタルカメラで撮影した大
量の画像もメールで楽に送受信することが可能となるので、今までインターネットに
おいて感じてきた通信時間によるストレスが解消されることでしょう。また、サービ
スとしては、定額制の導入により電話料金を気にしないでインターネットを利用する
ことも可能となるので、好きな時間に好きなだけインターネットを楽しむことができ
ます。
今回はこのブロードバンド常時接続のなかでも『ADSL』について説明していき
たいと思います。
『ADSL』とは現在家庭に引かれている電話回線を使って高速データ通信を実現
する技術であり、通常のアナログ回線のままでパソコン通信と電話通話を同時に使用
することも可能なため、新たに回線を引く必要もなく低価格で快適なブロードバンド
常時接続が実現できる点が大きな魅力となっています。また、ADSLインターネッ
ト接続ならアップロード速度が約512kbps、ダウンロード速度にいたっては約1.5Mbps
以上のデータ通信速度が可能になるため大容量の動画や音楽のダウンロードにおいて
も効力を発揮するのは間違いないと思います。
例えば、5分間でダウンロード可能なデータ量を比較してみると
①アナログ56kbpsモデム:約2M
②ISDN:約2.3M
③ADSL:約56M となります。
ただ、サービスが始まったばかりなため利用できるエリアが限られていることや、
収容局からの距離によって速度が落ちる可能性があるなどといった欠点もあります。
気になるコスト面は、イニシャルコストはサービスにもよりますが大体2万円~3万
円、ランニングコストにいたっては月々5、000円台が相場となっています。
ADSLを導入する前に以下の内容を調べておけばスムーズに移行することが可能
でしょう。
Ⅰ)ADSLを利用する場所がサービス提供地域か?
→ADSLサービスを受けるためにはサービス提供地域であることが条件。
事業者やプロバイダのサイト、116で確認をお勧めします。
Ⅱ)電話回線の名義人とその住所は正しいか?
→正確な名義人とその住所を記入しなければ開通に時間がかかります。
わからない場合は116へ問い合わせてみましょう。
Ⅲ)NTTの電話局からADSL利用場所までの距離は?
→直線距離3~4kmがおよその目安。距離が長くなると影響を受けやすく
なります。
Ⅳ)現在ISDNを利用しているか?
→ISD回線ではADSLを利用できないためISDN回線しか引いて
いない場合はアナログ回線への切り替え、もしくはADSL専用回線を
新たに引く必要があります。
Ⅴ)ADSLにマイラインサービスの影響はあるのか?
→ADSLはダイアルアップ接続方式ではないのでマイライン選択による
影響はありません。
ブロードバンドならではのコンテンツとして①ライブ配信(スポーツ、コンサート
ニュースなどのリアルタイム配信)や②オンデマンド配信(サーバーに蓄積されたデ
ータをユーザーが選ぶ。映画、音楽などのダウンロードサービス、ゲームなど)など
インターネット放送や新しい配信サービスが続々登場している今日、私自身もいまま
でのISDN接続からADSLの導入を本格的に考えてみようと思っています。(N.H)