過去10年間のeコマースに与えた影響力トップ10
今回のコラムは、アメリカのソフトウェア関連業界団体(SIIA)が7月11日
に発表した「過去10年間にeコマース分野に多大な影響を与えたと思われる存在・
事象」トップ10について、簡単にご紹介してみようと思います。
そもそも「eコマース」とは、なにかをご存知でしたか?
現在ではかなり一般的になりましたが、インターネットなどのネットワークを利用し
て、契約や決済を行う取引形態のことです。いわゆる「電子商取引」ですね。
この電子商取引は企業間取引「B to B」、企業・個人間取引「B to C」、個人
間取引「C to C」の3つに分類するのが一般的です。
今回のSIIAトップ10は、最近の10年間で電子商取引に大きな影響を与えた
会社や技術ということになります。
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┃★┃過去10年間のeコマースに与えた影響力トップ10
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◆1.Google
やはりというべきでしょうか、Google社の存在がトップでした。このコラ
ムの07年2月号でもご紹介しましたが、「高性能な検索エンジンを提供する会
社」ということにとどまらず、さまざまな分野で、今なお衝撃を与え続けていま
す。
http://www.google.co.jp/
◆2.アメリカのブロードバンドユーザが50%に到達
実は「50%に到達」というのは3年前の出来事だそうで、本年度末までには、
なんと「90%に達成」するようです。日本でも同じですが、このブロードバン
ドの普及が電子商取引に与えた影響は計り知れません。
◆3.eBayオークション
日本ではあまり馴染みが無い名前ですが、世界最大のオークションサイトです。
インターネットオークションの可能性を世界に知らしめた存在ということでの
ランクインでした。(国内ではフリーマーケットというとヤフーオークションが
有名です。英語の苦手な私はついついそちらのほうにいってしまいがちですが、
eBayオークションには日本語サポートの無料ツールもあるようですね。)
http://www.ebay.com/
◆4.Amazon.com(アマゾンドットコム)
言わずと知れたオンラインストアの先駆けとなった会社です。2006年9月号
で紹介した「ロングテール現象」により、販売の考え方を根底から覆した感があ
ります。
http://www.amazon.co.jp
◆5.Google Adwords
「キーワード広告」という新しい広告分野を開拓したのも、Googleです。
2000年から開始したこのサービスでは、他にもオーバーチュアという会社の
ものも有名ですが、今回のトップ10ではGoogleを取り上げたようです。
キーワード広告は現在ではオンライン広告の40%を占めるまでに成長した分野
となっています。
http://adwords.google.co.jp/
◆6.オープンスタンダード
1997年に公開されたHTML4.0のことです。いわゆるホームページの作
成規約といったところです。しかしこの規約が次のWeb世界に与える影響には
絶大なものがあるようです。
◆7.Wi-Fi
無線ネットワークの標準規約(802.11)です。「お互いにこの規約を守っ
ていれば、簡単に無線接続できますよ」という保証マークとなります。しかし実
際は複数の規格があり、代表的なものには11g/bや11aがあります。
この規約のおかげで他メーカとの無線LANが簡単に接続できます。
◆8.ユーザ作成型コンテンツ
ユーチューブに代表される、ユーザが情報を投稿するような形態で成り立つサイ
トです。ユーチューブはもともとベンチャー企業が運営する「動画共有」サイト
なのですが、タグとよばれるキーワード検索技術とあいまって、1日のアクセス
数が1億を突破する巨大サイトとなっています。この企業も2006年10月に
Google社に買収されています。
http://www.youtube.jp/
◆9.iTunes
アップル社の開発・販売するデジタル音楽を管理するソフトです。今となっては
それほど珍しくありませんが、この分野はアップルが先駆者で、音楽CDからの
取り込み、パソコンのジュークボックス化(再生)、インターネットサイトから
のダウンロード購入やiPodへのデータ転送など、一連の機能を統合して使い
やすいソフトを提供しました。結果としてデジタル音楽市場の拡大に多大な貢献
をしたようです。
◆10.BlackBerry
これも日本ではあまり有名ではありませんが、カナダのRIM社が開発・販売し
ている通信機能内蔵の携帯端末です。スケジュール管理、アドレス帳、メール、
ワープロなどなど、現在のモバイルパソコンに要求される機能をいち早く取り入
れ、時間と場所の制約にとらわれないeコマース活用を可能にしました。
これらがSIIAの「過去10年間にeコマース分野に多大な影響を与えたと思わ
れる存在・事象」トップ10と発表した内容となっています。
アメリカでの過去10年という基準なので、日本独自のもの(楽天、ヤフーなど)
や、最近急速に勢力を伸ばした(セカンドライフなど)は掲載されていません。
しかし3年前でさえも「昔」の感じがするこの業界においてでも、やはりこれら
トップ10の内容は別格ですね。
でもみなさんお気づきですか?なぜかマイクロソフト社が入っていないのです。
Windowsという環境が与えた影響は小さくないと思うのですが・・・
もしかしたら11位くらいだったのかもしれませんね。
(詳細をご存知の方いらしたら、是非教えて下さい。)
そして今回1位となったGoogleですが、やはりこの会社は進化を続けていま
す。最近ちょっと気になるサービスを発表していますので、ぜひ一度ごらん下さい。
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┃★┃Google恐るべし!(続報)
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◆ルート検索
http://www.google.co.jp/transit
他社でも似たようなサービスがあります、「路線の検索」です。
ここにも、Google独自の機能が盛り込まれています。
出発点に「自宅の住所」、到着点に「会社の住所」を入力してルートを検索して
みてください。
いかがですか?Googleマップ(地図)と連携しながら、乗り物や所要時間
まで表示されます。(他社サービスでは駅→駅の乗り物検索が主流)
大変便利なルート検索ですね。
さらには、画面右上にある「航空写真」をクリックしてみてください。
今度は地図がGoogleアースで見た航空写真になってしまいます。
同様に「地図+写真」をクリックすると、両方の表示がなされます。
他社が開発した「一応完成したと思われる機能」もGoogleにかかるとここま
で進化してしまうという一例です。
◆ブック検索
http://books.google.co.jp/
誰にでも思いつくけど、誰もしようとしなかった機能、「本の検索」です。
ただし、「タイトル検索」だけでは無いことにご注意下さい。
本文の中の文章も検索対象になっています。
試しに、なにか調べたい言葉を入力してみてください。(例えば「日本の歴史」
などでも結構です)
すると、瞬時に該当する書籍の一覧が表示されます。
しかし本当のすごさはここからです。
書籍一覧から1つクリックしてみると・・・内容までも表示されてしまいます。
(もちろん著作権保護されているものは一部のみしか表示されないようです。)
誰がこんなことを「やろう」と思ったのでしょうね?
全ての本をパソコンに取り込むまでには、あと数百年かかるそうです。ウソか本当か
確かめようの無いジョークのような機能が追加されていました。
前回の調査から半年の間にも、いろいろな機能が追加されています。
ちょっと変わったものをご紹介しました。
相変わらず、遊び心満点のGoogle社でした。
(井関)