インターネットで利用される回線の種類について
皆さんはご自宅や会社でインターネットを使用されていると思いますが、使用する回線の種類やサービスによって、その環境は大きく変化するのをご存知ですか?
今回はインターネット回線の種類についてご説明します。
まずは、アナログ回線。
これは、昔から使用されてきた電話回線をそのまま使用する方法です。普通の電話線をモデムに差し込めば使用でき、特別な装置を必要としないのでお手軽です。モデムとパソコンとインターネットプロバイダとの契約さえあれば、自宅以外でも問題なく使用できるのも大きな特徴です。
反面、通信速度は遅いのが難点です。現在は最高でも56Kbpsまでしか出ません。
回線の安定性も今ひとつです。通信中にいきなり回線が切断されることもあります。
次にISDNです。
これは、アナログ接続と違ってデータをデジタル化して送受信します。その為、デジタルデータをアナログデータに変換(またはその逆)する為のTA(ターミナルアダプタ)という機械が必要になります。通信速度は64Kbpsと、アナログ回線よりも高速です。
また、1回線で従来の2回線分の容量があるため、「電話をかけながらインターネット」や「FAXを送信しながらインターネット」「2回線分を全て通信に使用して2倍速(128kbps)」など、多彩な使用方法が可能です。最近では、定額料金で昼夜問わず使い放題の「フレッツISDN」というサービスも提供され、月々3,000円程度で常時接続環境を手に入れることができるようになりました。ようやく電話料金を気にせずにインターネットを使用できるようになったのです。
しかし、確かにアナログ回線よりも高速・安定化しており、常時接続のサービスもあるISDN回線ですが、ここ数年でインターネットの世界で扱われるファイルの容量は劇的に増加しました。最新のウィルス定義ファイルやWindowsの修正ファイル、無料のツールなども1M~数十M、多いときには100Mを超えることもしばしばあります。
通常の使用時でも、ホームページに大きなサイズの画像ファイル等があった場合などは、表示されるまでに時間が掛かってしまう場合があります。
そこで登場してきたのがADSLです。
これはISDNなどのデジタル回線ではなく、従来のアナログ回線を使用してISDNの約20~100倍以上の、1.5M~8Mbpsの高速通信を可能にします。
ADSLによってついにブロードバンド(広帯域・常時接続通信)が可能になったのです
ADSLとは、非対称デジタル加入者線(Asymmetric Digital Subscriber Line)の略称で、下り(webの閲覧・ファイルのダウンロード等)と上り(メールの送信・ホームページの更新等)の通信速度が異なるのが特徴です。
ISDNと同様にインターネットを使いながら電話をかけることができますが、単純に2回線分を持っているわけではありません。電話線を通る音声信号の周波数は1~4KHzですが、ADSLは上りが30~120KHz、下りが140KHz~1.1MHzを使用しているので、同時にデータと音声を送ることができます。単純に2回線分の容量を持つISDNとはここが違う点です。
ちなみに、ISDNの使用周波数は1KHz~320KHzなので、ADSLの使用周波数とかぶってしまいます。この為にISDNとADSLは回線を共有できません。
NTTは、光ファイバーによる高速通信網の普及まではISDNで十分だと考えて、全国の交換機を、莫大な資金を投じてISDNに対応したものに交換し、加入者のISDNへの転換を積極的に行いましたが、光通信普及前の、現在のADSLサービスの普及は予想外のものだったようです。
日本のISDNは、世界的にも早期に導入された為にADSLの利用を意識しておらず、使用帯域が重なりますが、欧米では「エコーキャンセラ方式」と呼ばれる80KHz以下の帯域を使用されるものが採用されています。ISDNの導入が遅れたアジア諸国もこのエコーキャンセラ方式が採用されているようです。結果的にNTTの戦略的失敗という感じですね。
しかし、ADSLにも欠点があります。
収容局まで遠いと信号が減衰し、データ速度が落ちる。または、利用できない場合があります。また、提供できるエリアが限られている為、サービスが始まっていない地域もあります。ISDNとの周波数帯域がかさなるので、近接するISDN回線から干渉を受ける可能性もあります。そして実際にADSLを導入するまでは、通信速度が分かりません。
しかし一番の問題点は、収容局までの回線に光ファイバーが導入されている場合は使用できない事です。その為に、利用申し込みをしても審査の結果利用不可という場合が多々あります。従来のアナログ回線は順次光回線に入れ替えられてきた為、結構重要な問題です。・・・が、コレに対する解決策は無いのが現状です。ADSLが使用できない場合は、フレッツISDNか、サービス提供地域ならば光ファイバー通信を利用するのがいいでしょう。
さて、最後はブロードバンドの大本命、光ファイバーによる高速通信です。
光ファイバーによる通信は、一般にFTTH(Fiber To The Home)と呼ばれています。
光ファイバーは、現在使われている銅線ケーブルに比べ、はるかに高速、大容量なデータの送受信が可能で、伝送中のデータの損失も少ないので、21世紀のネットワークの中心となって、社会を支える基盤として大きな役割を果たすことが期待されています。日本では光ファイバーをすべての家庭に、2010年までに引く(最近、前倒しして出来れば2005年までに引く)計画が進められています。しかし、普及はなかなか進んでいません。
光ファイバーの敷設は高コストであり、幹線沿いにはファイバー網が届いていても、個人宅までの残り数キロがなかなか整備されていないのが現状です。施設には工事が必要となるので、個人レベルで導入する場合、結構な初期投資が必要になります。
また、通常の銅線よりも曲げに弱い為に既存のケーブル用パイプを使えない可能性があり、集合住宅での導入は大変そうです。
最近になって、ようやく一部の業者がFTTHによるサービスを開始した段階で、その提供範囲もごく限られたものになっています。
しかし導入にハードルがあるものの、その性能はさすがにブロードバンドの大本命といったところでしょうか。FTTH業者の同一ネットワーク内では10~100Mbps、通常のインターネットでの使用でも6~8Mbpsのスピードが安定して出ます。
ADSLの最高速度は8Mbpsですが、収容局からの距離やノイズの影響で実際にこの数値が出ることは稀であり、実速3~6Mbpsですので、繋がりさえすればFTTHの方が速くて安定した環境を手にできます。
FTTHの問題点は、やはり普及率と高コスト化という部分でしょう。この問題が解決されれば、多くの家庭に大容量高速通信の回線が提供されるようになるはずです。通信事業を管理する郵政省・総務省とNTT他の通信業者の頑張りに期待しましょう。
さて、以前のニュースでお伝えしたとおり、我が社は運良くFTTHの提供圏内だった為、会社の回線を光ファイバーに変えることができました。
せっかくの高速回線を遊ばせておくのももったいないので、お客様のシステムデータ等のバックアップサービスを始めようと企画しております。
保守契約を結んで頂いているお客様の端末から、データを送信していただいて当社のサーバーに保存しておき、お客様の端末が壊れた時などにそのバックアップデータを利用してシステムを復旧しようというものです。
お客様はデータが守られて安心、当社はサーバーの有効活用でウハウハという、夢の2元システムですので、是非ご検討の上、弊社担当にまでご質問くださいませ。
(R.K)